私が小さいときに、親が山下達郎と大滝詠一の音楽(もちろんカセットテープ)を車の中でかけていたので、彼らの音楽は好きとか嫌いとか以前にすでにそこに避け難く存在していました。私は小さいときほとんど音楽に興味が無かったので(むしろ昆虫とか釣りとかのほうが興味があった)、他の音楽に興味を示すことも無く、ただ黙って親がかける山下達郎と大滝詠一の音楽に耳を傾けていました。その幼い日々に私の「良い音楽の基準」というか「良い音楽を作ろうとするとき(あえて悪い音楽を作ろうとする人間などいませんが)人が指向すべき方向の基準」みたいなものが作り上げられたように思います。これが長渕剛とか矢沢永吉だったらどうなっていたのか、と思います(それはそれで色々と悩まなくて幸せだったのかもしれない)。そういう意味では親に感謝しなければなりませんね。
そんなことを考えつつ中央線快速に乗り、中野サンプラザに初めての山下達郎氏のライブを観に行きました。無論満員。二階席でした。
最新作"Ray of Hope"イントロのSEが鳴り始めて達郎氏が登場…。うーん、細い!いつものスリムなジーンズに黒いシャツをインしています。セットリストなどは勿論書きませんが、私のいつも聴いている氏の曲がどんどん演奏され驚いてしまいました。「サマーウォーズ」のあれでは涙が流れました…。
以前から達郎氏のライブは凄いらしいという話を聞いていたので、期待はしていたのですが、それでも唖然としてしまうほどの統一感。とにかくバンドのアンサンブルが、JBマナーに従って、信じられないほど乱れない。彼の音楽が懐メロに堕してしまわずにいられるのは、リズム隊に対する自覚の強度だと私は信じて疑わなかったのですが、それを再確認できました。ベースとドラムに私より若い28歳の人たちを起用し(達郎氏曰く『空洞化バンド』)、どれだけシゴいたのかわかりませんが、若い血潮が吹き込まれて瑞々しい音を放っていました。そこに乗る達郎氏の声は言うまでもありません…これに関してはちょっと言葉にできません。深く感動いたしました。
このライブを観た後でどこにも寄る気になれなかったので、"Ray of Hope"を聴きながら真っ直ぐに帰宅しました。
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