最近どうもこういうアブストラクト・ヒップホップの元ネタみたいなのばかり気になって聴いてしまうんですが、そういった絡みからデビッド・アクセルロッドのことも知りました。これは彼がキャピトルで手がけた音源を集めたものなんですが、これが実に奇妙な、既聴感のない音楽であります。なかなか説明するのは骨が折れるんですが、上ものは恐怖映画のサントラのようで、それが非常にファンキーなドラム&ベースに乗っている。ファンキーというか、ドラム&ベースだけ聴いているとこれはブレイク・ビーツなのではないか?と思ってしまうぐらい時代性を軽く無視した音です。この時代にここまでビートに意識的になっていた人がいたこと自体驚きです。これは白人である彼が黒人に囲まれて育ったことと勿論無関係ではありますまい(自分を黒人なのではないかと考えていたときもあったそうです)。かといってベースが突如前面に出てくるところはジャズ的でもあり…ほんとに時代から浮いてる音楽だと思います(ちなみにベースはキャロル・ケイがやってるらしく二度びっくり)。そして全体を貫くのは煮え切らぬ、パラノイアックな、西海岸的退廃というか「暗さ」です。彼自身も相当ワルかったらしく若いうちから相当ヤバい道を歩いてきたそうですが(考えられる限りのドラッグをやったとか)、そのダウナーな感じがじわじわ染み出しています。
このCDにはルー・ロウルズとかキャノンボール・アダレイとか彼がプロデュースしたものも入ってるんですが、断然個人名義の作品の方が面白い。とりとめのない白昼夢のようなイメージが次々に沸き上がってきて、まことに好き勝手やってます。DJ Shadowの"Midnight in a Perfect World"ネタの"The Human Abstract" とか鳥肌モンのかっこよさ。他にもDr.Dre,Pete Rock,Madlibらがサンプリング。オリジナルアルバムも聴きたい。
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