無条件の傑作、とだけ書いて終わりにしたいぐらいの大傑作。仮に星10個で採点するとしても星10個を付けると思います。同時代の音楽でそれだけの評価に値する作品がここ10年であっただろうか?…いや、ない。ああ、彼らがこれ以上の完成度のアルバムを出せるか不安になるという欠点があるので-1で星9個かな。とりあえず1人2枚買おう。
1stミニアルバムの「ガレージロック+童謡」(実に乱暴な物言いですが許してください)、より音響に重きを置いた1stを経てこちらの2ndアルバムでは前2作の作風が滑らかな融合をみせます。そしてなにより曲が信じられないほどいい!私は名曲「ペペロンチーノ・キャンディ」が収録されるので楽しみにしていたんですが、「ペペロンチーノ・キャンディ」が霞むほどの名曲(一聴しただけでわかる名曲!)の数々が繰り出されます。特に「ミス・パラレルワールド」「人工衛星」「チャイナ・アドバイス」「(恋は)百年戦争」と連なる2~5曲目は圧巻。どの曲も恐ろしいほどに中毒性のあるフックをもっています。東京都心はパラレルパラレルパラレルパラレルパラレルパラレルワールド♪・・・なんとなく、全国の女子高生に聴いてほしいです。なんとなく。
しかしながら、このアルバムを聴きながら私が強く思ったのは「このアルバムを作ってるのは、明らかに私とは違う世代の人たちだな」ということでした。そして「私たちの世代はクリエイティブな面でいえば時代遅れになりつつあるんだな」と思いました。確かに心から感動しましたが、それは同時代を生きる者として共振している、というのとはちょっと違いました。思えば00年代というのは超大雑把にソーカツすれば「文脈と意味が消えて」「デジタル・アーカイブ化し」「全てのアーカイブに等しくアクセスが可能」(なんだろう、既にちょっと懐かしいぞ…)という時代だったわけですが(ですよね?)、その集大成的なこの傑作に、世代のズレをダダーンと思いっきり叩きつけられた思いがします。しかし、そこに私は悔しさや残念さなど微塵も感じませんでしたし、むしろ不思議な清々しさがありました。こういうのって意識してやればできるというものではないのでしょう。
こういう音楽を私たちは新しい音楽と呼ぶのかもしれません。
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