今年も月に数枚ずつしかCDを買えませんでしたが、今年は個人的に今後もずっと聴いていけるような名盤に数多く出会えた年でした。 特に順位などつけずつらつらと書いてみます。「フリーソウル・キリンジ」「フリーソウル・クレイジーケンバンド」とか「大滝詠一のジュークボックス」とかも勿論良かったですが、オリジナルアルバム縛りということで。
サンサ・トリオ「vol.2」
久々に衝撃を受けたジャズサンバ名盤。これ系はテノーリオ・ジュニオールのアレを越えるものはもうないんだろうと思っていましたが、甘かったです。ファーストも素晴らしい出来ですが、完全なピアノトリオのこちらの、淡々としていながらもいつの間にかのめり込んでしまう感じはなんなんだろう。おそらくアイルト・モレイラの牽引するリズム隊の素晴らしさに起因するんだとは思いますが。しかしながら地球の裏側でたった数年だけ盛り上がった音楽に心が震えるということはなんと驚異的なのかと思ってしまいますね。
ジョージイ・フェイム「リズム・アンド・ブルース・アット・ザ・フラミンゴ」
スウィート・チャールズ「フォー・スウィート・ピープル」
この二枚は再発してくれただけで嬉しい幻の二枚。ジョージイ・フェイムのコレは一瞬でスウィンギン・ロンドンの世界に連れて行ってくれるフラミンゴ・クラブでの熱すぎるライブ盤。今まではコンピレーションで数曲しか聴けなかったので嬉しかった。他の曲も勿論最高でした。スウィート・チャールズは「イエス・イッツ・ユー」が好きだったので買いましたが、やっぱりこの曲が飛び抜けてたな。しかしいいタイトルだなあ。
坂本慎太郎「ナマで踊ろう」
衝撃のビジュアルのジャケットを含め、今年度最高の邦楽アルバムだったのでは。一人多重録音による密室的ファンクから、デッドな音質はそのままにやや開放感のあるバンドアンサンブルへ。コンガ。虫声。スティールギター。バンジョー。終末を暗示…というか終末そのものの歌詞を聴きながら街を歩いていると、2014年の光景と不気味に同調していく。ベストは「ナマで踊ろう」。
リトル・テンポ「ゴールデン・デラックス」
これは今年買ったわけではありませんが、今年よく聴いてました。休日に三枚全てシャッフルしてだらだらと流していると最高。奥行きのあるダブにスティールパンの軽い上物が絡んでくると気持ちよくなってだんだんどこにも出かける気がなくなってきます。
チェット・ベイカー「ダイアン」
チェット・ベイカーは結構沢山聴いたんですが、これは初めて聴いてハマりました。ポール・ブレイの弾くピアノとベイカーのトランペットと歌、それだけ。朗々と歌い上げるでもなく、隙間だらけの空間を埋め尽くそうとするわけでもなく…。ただ独り言を言っているだけのような歌とトランペット。傑作だと思います。
ルベーン・ゴンザレス "Momentos"
映画「ブエナビスタ・ソシアルクラブ」(は早稲田松竹で観た覚えが)にも参加していたキューバのピアニストのリーダー作。情念とか、それ食えるのか?と言っているかのような軽やかで風通しがいい音です。暑くて乾燥した国でビールを飲んだら、そのまま汗になって消えていって全く酔いが残らない…というような感じ。アフロキューバンとか結構暑苦しくて苦手な感じなんですが、こういうキューバ音楽だったらずっと聴いてられるなあ。この二枚は「雨と休日」で購入。この店でレコメンされてる他のCDも沢山聴いてみたい。
トニー・コジネク「バッド・ガール・ソングズ」
名前だけは知っていたカナダ・トロントのシンガーソングライター。ただの日記みたいな音楽ではなく、一曲一曲何か引っかかり、構成もテクニカルである。だからこそ伝えたいことがしっかり伝わり、染みてくる。ピーター・アッシャープロデュースによる墨絵のようにシンプルな音像も素晴らしい。ありきたりな言い回しですが、全然古く感じないアルバムです。「'48デソト」が好きです。来年は60〜70年代の聴き漏れている名盤も沢山聴きこみたいと思いました。
ピート・ロック&CLスムース「メイン・イングリーディエント」
まさかの来日…に行けなかったので腹いせに沢山聴いてました。ここまで聴きやすく、かといって何かに妥協したり迎合したりしたように思わせないヒップホップ…というのはそう多くないと思います。
ボブ・ドロー「デヴィル・メイ・ケア」
こちらが今年のベストかもしれません。デ・ラ・ソウルの元ネタだったから昔から気になってましたが、今年初めて聴いてみてあまりに自分好みの音なのでびっくりしました。ランバート、ヘンドリックス&ロスみたいに洒脱で、ユーモアがありながら、ピアノも歌も核心のところが誰にも似ていなく、親しみやすいのに屹立しているという両義性。全体的にうっすらとヴァイブの音が鳴っていて清涼感もあり。"You are the dangerous type""I had the craziest dream"が本当に美しい。ずっと大事に聴いていきたい。
他にはユザーン「タブラ・ロック・マウンテン」、それから一十三十一と流線型とか、邦楽で気に入ったのも多かったです。来年も素晴らしい音楽に出会うことが出来ますよう。
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