あまりにも、あまりにも(何のフィルターも通過していないという意味で)透明な唄の数々。私好みの全曲一人多重録音!かといって「ローファイな質感」「ヒップホップを通過した」とかしか芸が無い、二流の宅録音楽家とは思えません。ガラス越しに(故に声が決してこちらに届くことはない)2010年の東京をじっと見つめたような冷徹な歌詞とメロディが深夜に私を突き刺してきます。自然と想起されるのはヴェルヴェッツ(3rd)、エリオット・スミス(合掌…)、日本の70年代フォークなど(でも『反体制的なメッセージ』みたいなベタつきがない)。あとベルセバも思い出しました。本秀康によるアートワークも素晴らしいです。
目を瞑ってじっとこの美しい唄たちに耳を傾けていると、我々が気づいていない(が故に決して一生解き放たれることのない)哀しみが、植物の胞子のようにゆらゆらと東京の夜空に浮かび上がっていく(遠くには白くぼんやりと、日々伸び続けるスカイツリーも見えるかもしれない)…ような情景が浮かんできます。
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