Tenorio Jrの"Embalo"を聴いてからすっかりブラジルのジャズ・サンバという音楽の虜に…。もともとブラジル音楽は好きだったんですが、まったーりした「ただの」ボサノヴァはそんなに好きではありませんでした(カエターノ&ガルの『ドミンゴ』とかも人気盤ですが、大きな声では言えませんが、ただの暗いボサノヴァじゃんとか思ってました。ジョアン・ジルベルトの『声とギター』みたいに緊張感あると好きなんですが)。むしろ私がブラジル音楽に求めるのは「フロアーの暗闇の中で踊る人々の褐色の肌に浮かぶ玉の汗」「地を這うベースライン」であります。Tenorio Jrの音楽にはその全てがあり、ジャズサンバという音楽は金の鉱脈であるかもしれない…と思いました。まあ、でもTenorio Jrは別格で、全部が全部ああいうクオリティではないということもわかったわけですが…。
というわけでジャズ・サンバ系のCDを集めているわけですが、もう少しショービズ寄りで良いなあと思ったのがこのミルトン・バナナ・トリオですね。Tenorio Jrとも共演してますが、"Embalo"のような研ぎすまされた凄みではなく「聴きやすさ」に比重が置かれており(『イパネマの娘』で始まるぐらいですから)、泥臭くなっていない。ドラマーのリーダー作という点では特殊ではないでしょうか。女の子にも断然勧められます。それでいてどの曲にもキメがあって、退屈しない。インプロヴィゼーションが延々と…とは無縁で、ぴしっと短い尺で終わるのも良い。
ジャズ・サンバに関しては今後もしつこく探求していきたいと思っております。
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