今年の下半期(…早いなあ)は結構R.E.M.を聴いていました。私はそれほど彼らのファンではないと思っていたんですが、実は結構沢山CDを持っていて(日本だと凄く人気ないから中古でいくらでも安く集められる)、気になって何度も聴いてみるとどのアルバムも凄くハマるんですよね。90年代で好きなバンドは沢山いるんですけど、私にとってこれほどスルメ型のバンドはいません。
一番好きなアルバムは、最新作「アクセラレイト」の素晴らしさも重々承知の上で、やっぱり92年発表の「オートマティック・フォー・ザ・ピープル」。さらにその中で一曲、と言われればやっぱり「ナイトスイミング」ということになります。この曲のPVは是非観ていただきたいんですが、これは私が今まで観てきたありとあらゆるPVの中でも屈指の出来だと思います。これほど曲の内容を完璧に表現できているPVは観たことがありません。登場する全ての人物の背中に、決して拭いきることの出来ない、我々一人一人の誰もが逃れることのできない孤独がべっとりとこびりついている。曲の比類無き美しさは言うまでもありません(カート・コバーンが亡くなるときに聴いていた、という嘘か誠かわからない噂があります)。真夜中の全裸での水泳/夏の終わり/プールサイドに置き忘れられたシャツ/決して交わることのない惑星/街頭に照らし出される車のダッシュボードの古い写真…こういったイメージが潮のように何度も静かに(音楽が鳴っていないときでさえ)胸を打ちます。この曲はR.E.M.というバンドの本質そのものであるように思います…少しだけ可笑しく、とてつもなく悲しい。
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