リー・コニッツのこのアルバムは、全く構造も中身も違うんですが、私にジョイ・ディヴィジョンを連想させます。ドラムのエルヴィン・ジョーンズは恐ろしく手数が多いですが、コルトレーンとの共作のようにガンガンプッシュしては来ず、抑え目にキープし続けます。リー・コニッツはその中を淡々と、特にテーマを吹くこともこれといって無く、いつ果てるとも知れない妙に醒めた演奏を続けていきます。実にコード感の無い音楽です。それが一曲また一曲と繰り返される、その営みに温もりは求められず、静謐さと真摯な態度の発露が見られるのみであります。暗闇の中で刻一刻形を変える青白い炎のような音楽です。
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