KissheeさんのBLOGで取り上げられてて手に取ったアルバム。これが最高に素晴らしい。時節柄ついついリピートしてしまう。
Miceteethというスカ/ロック・ステディのバンド解散後の、フロントマン次松大助のファースト・ソロ・アルバムで、流麗なストリングスが多様され…と考えていくと、どうしても私はコリン・ブランストーン「一年間」を連想してしまうんですが(相変わらずあれに対する私の思い入れは半端ない)、ずっとおもちゃ箱的でオールド・タイムな感じがあります。スカやロック・ステディだけではなく、ラテンやカリプソを含む膨大な量の英米以外の音楽を聴きこんできたことが容易に推測されるんですが(それもまだ20代にして!)、それだけでなくいわゆる「正式な音楽教育を受けてきた」人が、酔いどれているような感じが、抗い難く魅力的です。クラシックの素養が溢れ出している。このへんはちょっとルーファス・ウェインライトと通ずるものがあるかもしれません。それにしても今どきこんな音像で正面きって鳴らしてくるのは酔狂と言わざるを得ない。それも洒落や冗談でやってるように見えないのが凄い。
歌詞にもそういう「堕する」魅力(というのかな…)があり、引きつけられます。とくに「からぼけの花」のむせ返るような詩情たるや!すっごく失礼な物言いですが、チャーリー・パーカーとかスタン・ゲッツみたいに、ひょっとしたらこの人から音楽を奪ってしまったら塵一つ残らないんじゃないか、とかふと考えてしまう瞬間がある。音楽を楽しもうとするよりも、音楽そのものになろうとでもしているというか。
あとこの人の顔つきも好きですね。瞳が透明でどことなく儚げで、かつ狂気をはらんでるような感じで。相変わらず勝手なことばっか言ってますけどね(笑)
[追記]
ところでこの人の音楽は私にとって既聴感が凄くあるんですけど、誰なんだろう?ってことをずっと考えています。こういう若い日本の人でオールド・タイムな音楽やってる人って誰かいませんでしたっけ?どっかで絶対聴いたことある気がする…。
こんばんは。
yojiさんの文章を読んで、なるほどそうだなあ、とうなづくことがたくさんありました。どうもありがとうございます。まず、"One Year"を出されるところが、さすがです(笑)。
マイスティースのほかのメンバーのかたたちはすごくはたらきもので(ドラムのかたがリーダーで、いい曲をたくさん書いていたのです)、ライブの次松さんは、おおむねへんな踊りで歌いつつぼーっとされていた印象なのですが(失礼)、yojiさんの「音楽を奪ってしまったら、塵一つ残らないんじゃないか」というのを読んで、妙にすごく納得しました。このひとの、ゆるい強さは、そういうところから出ているのだなと。たぶん、瞳がはかなげで、でもどこか狂気をはらんでいるというのも、同じことなんでしょうね。
投稿情報: kisshee | 2009/09/26 00:25
こちらこそ、どうもありがとうございます。また一つ愛聴盤が増えました。なんかbounceの文章とか読んでると文章も凄く面白い方なんですよね。私と同い年ぐらいなのに凄いなあと思ってます。
投稿情報: yoji | 2009/09/26 02:52