「共感」とか「リアリティ」とかいう言葉たちが二万光年彼方に吹っ飛んでいく衝撃の漫画。日本における青春というものが、これほどまでに残酷で意地汚く不潔である、という事実を麻生太郎第92代内閣総理大臣は認識したほうがいい(笑)
この漫画のレビューなんかを読んでると「意外と主人公が内向的じゃないのが共感できない、同窓会行ったり柔道部作ったり彼女出来たりと、結構社交的ではないか」って意見があるんだけど、私はそこらへんのKY感、すなわち「ひょっとしたら自分にも出来るかもしれない!」と己を過信してしまう、そして勿論結局は自分自身に裏切られる感じ、その辺に寒気がするほどのシンパシーを感じてしまいました。何故か「自分は特別である」という気持ちがどこかにあり、周囲の優しく善良な人々を心のどこかで馬鹿にしている(まあ実際馬鹿なのもいるけど)…でも結局は皆に置いていかれているだけで(皆が乗ったバスは出て行ってしまった)、気づいたときには取り返しのつかないところまできてしまっていて、あとはただひたすらに堕ちていく…。そう考えてみると「欝漫画」というよりも「中二病漫画」と呼んだほうが私にはしっくりきます。
確かにこの漫画の最後で主人公は彼女と呼ぶことのできる相手が出来るんだけど、彼女とコタツを囲む幸せなシーンで終わっていない、そして「この後どうしようか…」というシーンが続いている、極めつけはあとがきで作者がまだコンビニでバイトしてるという事実がわかりますが、それらがこの漫画の価値をよりいっそう高めている気がします。
個人的にはデビュー前の中村一義と重ね合わせて読んでしまいました。あと、なにげに主人公がスーパーカブに乗っている。
最近のコメント