私の考える、アフター・はっぴいえんどにおけるずば抜けた傑作。もはや「和製」リトル・フィートというのもちょっと躊躇われるほどのリトル・フィートっぷりなんですが、そこに松本隆の歌詞が適当な湿度を与えているというか、なんというか。
私は実は「はっぴいえんど」本体よりもこのアルバムとか、小坂忠「ほうろう」なんかのほうが好きなんです。「はっぴいえんど」はリズム隊が、モビー・グレイプ的、ザ・バンド的、あるいはバッファロー・スプリングフィールド的にもったりしてることが結構あるから(つまり60年代っぽいんですね、やっぱり)、日本語が乗るなら私はもうちょい軽くグルーヴする感じのほうが好みなんです。大瀧さんに関しては何故か「大瀧詠一ファースト」が好きなんですけど。
このアルバムは色んな意味でジョージ・ハリソンの初期ソロ作を連想させますね。バンド時代二つの巨大な才能の影に隠れていたギタリストが、バンドから解き放たれてその資質を開花させたという…声の線が細いところもそっくりです。まあ、音楽以前のそういう状況にこちらが純文学的に思い入れ過剰になってしまったのではないか、という反省も必要なのかもしれません。
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