安易なボサノヴァごっことは一線を画す、なんてことを改めて言う気力がなくなるほどの天上の音世界が広がります。まあ有り体に言えば「安易な聴き流しを拒む」っていうか、しばらく聴いていると身体にくいこんできます。基本はピアノ・チェロ・ヴォーカルというトリオで…ジョビンの音楽の特性である現代的な構築美にうっすらと自然にふくよかさが加わっておりますが、過剰にはならない緊張感が貫かれており、弛緩した感じは微塵も見受けられません(意外とジョビンと坂本龍一の共通点はそこにあるのかもしれません)。坂本龍一のピアノのシングルトーンは深く沈静していくように美しいです。押しつけるつもりは毛頭ありませんが、こういった音楽がもう全然駄目!っていう人ってあんまりいないのではないでしょうか?気持ちよすぎて寝ちゃうってことは確かにあるかもしれないですが。
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