エリス・レジーナの「イン・ロンドン」ってアルバムは超・ソウルフル、超・グルーヴィーな大名盤だと思いますが、頭の何曲か聴いただけでもう満腹になってしまう感じはあります。このアルバムの「ウェイブ」とか血沸き肉踊りますけどね…。かといってジョビンの「ウェイブ」は眠くなる…というわけで、そのちょうど真ん中でいい塩梅を保ち続けてるのがこちら、ということになります。音楽ってそんな単純なもんじゃないと思いますけど、このアルバムでは上手いこと両者の持ち味が交配されているという気がいたします。ボサノヴァのアルバムにありがちな単調さもなく、短い尺でぴしっと終わってるところも気分良いです。建築学科卒のジョビンの構築美の中を、気だるく大胆に奔放に漂うエリス・レジーナが熱い血潮を吹き込み続ける傑作。低気圧に侵されて、いくら眠っても眠気が去らない日に見る白昼夢のためのBGM。「無意味な風景」という曲が終わった後、なんとも言えない余情が残ります。
最近のコメント