いつもタイトルが紛らわしいと思うスモール・フェイセズの1st。以前紹介したイミディエイト移籍後の3rdアルバムも「スモール・フェイセズ」ってタイトルです。
スモール・フェイセズには汲めども尽きぬ魅力がある、と私はかねがね考えているんだけど、ゼムほどには渋すぎずかといってマンフレッズほど時流におもねることもないという絶妙なバランス感覚が実は肝なんじゃないかと思います。それは意外とフロントマンのスティーブ・マリオットが子役出身であり、幼い頃からショービズの裏側を垣間見ていたという事実が影響しているような気がするんです。このアルバムでいえば「シャ・ラ・ラ・ラ・リー」とか「ホワッチャ・ゴナ・ドゥー・アバウト・イット」みたいな、一歩間違えればノベルティソングと捉えられてもおかしくないような曲をやってるからこそ、ゴリゴリにハードなトラックが引き立つという…その絶妙な匙加減にはため息が出る思いがします。90年代後半の異様なまでの再評価のなされかたも、そのバランスにこそ力点がおかれていたのではなかったか…?
そしてこの四人の配列ですね!これが最高にイケてるなあといつも感心してしまいます。ヴォーカルには力の限りシャウトしまくる天然のマリオット君、ギターにややシニカルな粋人のロニー・レイン、オルガンには、私が実はスモール・フェイセズサウンドの鍵を握っていたのではないかと考えている人物であるイアン・マクレガン、そしてドラムスのケニー・ジョーンズは、確かにキース・ムーンほどの深みは無いかもしれないけれども非常にキレがあり強力な、かといってけっして英国ビートバンドの伝統からは外れてはいないビートでフロントを支える…といったこれもまた絶妙なバランスには、ローリング・ストーンズに勝るとも劣らない「神の啓示」のようなものを、大袈裟でもなんでもなく感じてしまいます。
ヴォーカルのスティーブ・マリオットの意思は、同じく幼い頃から芸能界を見てきた長澤まさみちゃんの「笑っているのに目の奥はどこか冷めている」瞳の中に確かに引き継がれていると私は確信しています。
そうなんですよ、この4人がガッシリと噛み合わさっているのが、SFなんですよね。
野生のマリオット、頭脳のレイン、センスのイアン。人脈のケニー。あ、3人だ(笑)。
初期のイアンって、映像で見るとほんっっとカッコイイんですよね。バリバリのモッズで。全然動かないんだけど、オルガン弾いてるだけでキマってる。服装も彼が一番。4ピースのバンドに、オルガン専門の人がいるってだけで、最高!って感じします。
投稿情報: nishi | 2006/10/04 22:33
スモフェは一丸となってる感じが最高なんですよね。それはフーには無い魅力だと思います。フーはなんか各人が好き勝手にムチャクチャやってるけど最終的にぴたりと合ってるっていうのが魅力で、それもまた凄いことだと思うんですけどね。
ドアーズも同じような編成なんですが、私ドアーズ聴いてるとたまにカラオケみたいに聞こえる瞬間があります。好きなんですけどね。ジム・モリソンのカリスマ性なのか…。スティーブ・マリオットにももちろんカリスマ性はあるけど、それは「スモール・フェイセズ」って枠の中からはみ出していくようなものじゃないんですよね。あくまでスモール・フェイセズの1ピースとなったときに機能するっていうか…。
全てのメンバーの力のバランスが同じで、かつ一丸となって演奏しているように感じるという点では、むしろザ・バンドに近いものを感じます。編成もやってる音楽も全然違うんですけどね。
投稿情報: yoji@川口満喫中 | 2006/10/04 23:52